徒然なる挽歌

ゲイが苦手なゲイの記憶と記録

俺はいつ自分が「ゲイ」だと気づいたのか(前編)

今回は「自分がいつゲイだと気づいたのか」について、幼稚園児から高校生に至るまでに感じたことや恋愛体験を交えながら書いていきます。

前半は女の子との話が多くなる点をご了承ください。思ったより長くなったので、「前編」「中編」「後編」の3本に分けました。

 

俺が自分のことをゲイだと確信したのは、15歳(高校1年生)のときのことだった。なんとなく恋愛対象・性的指向に違和感が出始めたのは、中学生のころだったように思う。

幼いころから、俺は女の子から人気があるほうだった。初めてのキスは幼稚園のときだが、もちろんお互いに恋愛感情などあるはずはなく、いわゆる「ファーストキス」とは別物だ。

病弱だった俺はよく熱を出して寝込み、幼稚園を休んでいた。そんなときは、決まってその子がプリントなどを届けてくれたものだ。体調が良いときはよく外で遊んだが、ほとんど女の子たちと遊んでいた。

当時の俺は、性別を意識することはなかった。ただ一緒に遊んでいて気が楽なのが女の子だったから、自然と男の子と遊ぶことが少なくなったのだと思う。

 

やがて俺は小学生になった。おそらく「ジャニーズ系」の風貌だったからだろうが、上級生の女子に可愛がられるようになった。

詳しくは覚えていないが、昼休みのときなどに上級生に呼ばれて、クラスに遊びに行っていたような気がする。

しかしヒステリックな女の担任に叱られて以降、俺が上級生の女子に会いに行くことはなかった。今ではとても考えられないことだが、幼いころの俺は大人や教育者に対して従順だったのだ。

ちなみに、俺は自分の容姿を「ジャニーズ系」と表現されて嬉しかったことはただの一度もない。

 

小学生のときは近所の英会話教室に通っていた。同じクラスの女子も偶然通っており、俺たちは自然と仲良くなっていった。

4~5年生くらいのころに相手から告白され、俺たちは付き合うことになった。しかし俺にとって女の子との付き合いというのは、単なる友情の延長線上の関係という感覚でしかなかったのだ。

手をつないだりキスをしたりして、確かにドキドキするような感覚はあったが、それ以上のものはない。中学生になるまでに俺たちの関係が自然消滅したのは、ごく自然なことだった。

 

一方で俺はむしろ男子のほうに興味があった。隣のクラスには「イケメン」として有名な色黒の野球部員が居た。(もっとも当時はまだ「イケメン」という言葉はほとんど使われていなかったように思うが。)

俺にはない長身でたくましい体格に、幼き俺は憧れを抱いていた。体育の時間に彼の華麗な身のこなしや爽やかな笑顔を見ると、俺の胸は高鳴ったのだ。

思えばこのときからすでに、俺は精神的には「きわめて健全な同性愛者」だったのだろう。

 

中学に入る前の春休みに、俺は数少ない男友達からあるゲームソフトを借りた。『ファイナルファンタジーX』である。

FFXは俺が今までプレイしたRPG作品のなかで、『The Elder Scrolls IV: Oblivion』と並ぶ傑作だ。

このタイトルについて熱く語るのはまたの機会にするが、今回のポイントは俺が好きだったキャラクターだ。通常の男子であれば、ユウナやルールー、リュックのような女性陣に心を奪われるはず。

しかし俺がときめきを感じたのは、主人公のティーダだ。彼の独特な衣装や爽やかな声、身体つきや優れた運動能力のすべてが俺を魅了した。

夜眠るときにティーダのことを思い出し、何だかドキドキして眠れなくなってしまったほどだ。

 

ちなみに本作は特定のタイミングで最初に話しかけたキャラの好感度が上がり、一部のイベントに反映される。

俺の場合はルールーの好感度が高く、それを見た友人は「やっぱお前はこういうのが好きなんだな~」とニヤニヤした顔で言ったのを今でもよく覚えている。

(女性陣で誰を選ぶかと言われれば、確かに今の俺はルールーなのだが、当時はそんなことはまったく考えていなかった。)

 

……このような感じで、俺は小学生のときからすでに一般的な男子とは違っていましたが、それをまだ自覚することはありませんでした。

次回の「中編」では、中学生活のなかで次第に浮き彫りになってくる同性愛的な傾向について語ります。

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