ゲイ/男性同性愛者の性行為といえば、まずアナルセックスをイメージする人が多いのではないだろうか。そうしてヘテロ(異性愛者)が「気持ち悪い」と思うのも無理はない。
俺は自身のセクシュアリティ(性的指向)を一応ゲイだと認識しているが、アナルセックスは大嫌いだし、【ゲイ=アナルセックス】という風潮も非常に不愉快である。
今回はなぜ俺がこれほどアナルセックスを嫌うのか、詳しく説明していきたいと思う。この記事が「マイノリティの中のマイノリティ」の助けになれば幸いだ。
そもそも「アナルセックス」とは肛門性交、つまりペニス(男性器)をアヌス(肛門)に挿入して行う性行為のことである。
アナルセックスには「ゲイが行うもの」というイメージがあり、実際の多くのゲイはアナルセックスを行っている。一方で異性愛者が異性とアナルセックスを行うこともある。
さて、肛門とはどのような場所だろうか。簡単に言うと、排泄物を出すための場所だ。つまりセックスをするためのものではなく、大便が通る場所だということ。ここに俺がアナルセックスを嫌う理由が集約されている。
- 不潔で不愉快
- 受け側が痛い
- 感染症の温床
- 手間がかかる
アナルセックスはとにかく不潔で汚い。なんといっても大便の通り道なのだから。まともな神経の持ち主ならば、たとえ相手のことがどれほど好きであっても、そんな場所に自分の指や性器を突っ込みたいと思うだろうか。
アナルを舐める連中もいるが、俺にはとても想像もできない恐ろしい世界である。もともと俺は潔癖症気味で、オーラルセックス(フェラチオ)でさえも、相手の性器が綺麗な状態でなければできない。
だからアナルセックスに対する俺の不快感はよりいっそう強いのだろうが、潔癖症でなくてもやはり肛門は汚物にまみれた場所だ。実際に衛生面の理由からアナルセックスを嫌うゲイは一定数いるようだ。
受け側にとっても、アナルセックスはたいていの場合は苦痛以外の何ものでもない。女性器やいわゆる「やおい穴」とは異なり、肛門は性的快感を感じられる構造になっていない。
前立腺オーガズム(ドライオーガズム)などという概念も存在するが、そんなものは一部の変態性欲者にしか縁のない話だ。とにかくアナルセックスは大半の場合、受け側に痛みしか与えない。
だから自身のポジションを「ウケ(ネコ)」と表明しているにも関わらず、実際にはアナルセックスが苦手・嫌いだというゲイは決して少なくない。
さらにひどいことに、アナルセックスは各種感染症、特にHIV・B型肝炎・梅毒などの恐ろしい性感染症(STD)のリスクを飛躍的に高める。
もっとも、性感染症のリスクはコンドームで防げるが、近年では「PrEPを使えば生でも大丈夫」だと誤解する愚か者が増えている。
世間では未だに【ゲイ=性病持ち】のような偏見が残っているが、少なくとも日本においては、性に奔放で無教養なゲイが多いのだから、そのように思われても仕方ないと言わざるを得ない。
ちなみに前述した衛生面や痛みの問題は、事前に入念な洗浄や前戯(フォアプレイ)を行えば軽減できる。しかし、そのために必要な時間や労力は信じられないほど膨大である。
俺がゲイアプリで会ったアメリカ人は、セックスをする前に自分の肛門や直腸を1時間もかけて洗浄していると言った。浣腸を頻繁にすると、肛門や直腸を傷つける恐れがある。
また、アナルセックスの痛みを軽減するための前戯は、指を少しずつ入れてほぐしながら行う必要がある。しかも、女性器と違って前戯で快感が増すわけでもなく、受け側は結局ある程度の痛みに耐えなければならない。
たかだかセックスのために、これほどの時間と手間をかける必要があるのだろうか。少しでも知性のある人ならば、その労力をほかのことに費やすべきだと分かるだろう。
しかし、それでも多くのゲイがアナルセックスを行っている。それはなぜだろうか。まず考えられるのが、本当に気持ちよくて楽しいというケース。この場合は「お幸せに」と言うよりほかない。
実際に多いのは、同調圧力やプレッシャーによるものだろう。現にゲイの中には、「ゲイであればアナルセックスをすべき」と信じ込んでいる人が少なくない。あたかも宗教に洗脳されているかのように。
攻め側も受け側も、アナルセックスがあまり好きではないのに、「やらなければならない」からやる。ウケが嫌だから無理にタチを演じるという人も少なくない。
アナルセックスはゲイの義務なのだから、これを放棄すれば相手にされず恋人もできない。特に受け側には、アナルセックスを断ればその瞬間に関係が終わるという恐れがある。
こうした同調圧力やプレッシャーが、「頑張ってアナルセックスをしなければ」と彼らを追い込むのだろう。苦痛を我慢しなければならない愛など、果たして本物の愛といえるのだろうか。
ゲイだからといってアナルセックスをする必要などない。この当たり前の事実を理解できているゲイは、「バニラセックス」つまり肛門を使わないオーラルセックスなどを行っている。
しかしバニラセックス派のゲイは少数派であり、「マイノリティの中のマイノリティ」である。ゲイアプリでも強制的に「タチ(攻め)」か「ネコ(受け)」を選ばされるものが多い。
このように、ゲイは日頃から「多様性」を訴えていながら、実際にはゲイの世界に多様性などない。型にはまった考えや習慣に洗脳されて、クリエイティブな視点が欠けている。だから俺はゲイが苦手なのだ。